社員体験記
第38回 : Mさん 設計経験6年
◆ 工業高校の卒業実習で設計の魅力を知る
工業高校電気科の卒業実習課題で水力発電のレプリカを作ったときに、設計の面白さを知り、将来設計業務に就きたいと思った。
就職した会社では鉄鋼プラントに係わる設備の制御盤を設計しており、そこで PLC (programmable logic controller) などを教わった。
◆ 仕様がはっきりしない状態での設計
制御関係の設計は、仕様が明確になっていないことが多い。
そのため現地で装置を見ながら設計することになり、自ずと出張が多くなる。
あるとき手動で作業している業務を自動化する仕事をしたが、既存のソフトはあるものの仕様書は無く、動作確認もしていないようで、調べていくとミスが多く見つかる。
作業手順を一つひとつ確認して、検出のタイミングを見ながらプログラミングして完成させるという、打合せにはない作業が多くなることもある。
また、電気関係の技術者が少ないためか、出張に行くと目的の装置以外に関係する装置の不具合まで見て欲しいと依頼されることも多い。
頼られるのは嬉しいが、業務外と無下に断ることもできず、対応に苦慮することもある。
◆ お願いされて設計したが、使い方がまずく装置破損
制御関係は仕様以外にも、現場の声を聴いて使いやすくする設計も多い。
しかし、時折それが裏目に出ることもある。
一例として、ある工場で異常時にブザーが鳴るようになっていたが、誤動作で異常ブザーが鳴りっ放しになることがあるので手動で切り替えできるように依頼され対応した。
ところが、生産中にそのスイッチを切ってあったようで、装置が異常状態でもブザーが鳴らずに装置を損傷し、○億円という大きな損失を出した。
現場の使い方に問題があるとはいえ、基本的には生産中は常に異常を検出するようにすべきであったと反省している。
◆ 初めて設計した制御盤を満足していただけたこと
初めて自分が設計した制御盤を、お客様に満足していただけたことが非常に嬉しく、今でも心に残っている。
まして、その後他部署に異動となったこともあり、図面の「設計者」の欄に自分の名前が載るのは後にも先にもこのときだけであり、なお記憶に残っている。
◆ 座右の銘:「為せば成る、為さね成らぬ何事も」
自分はもともと慎重に物事を行うタイプであり、考え過ぎると身動きができなくなることもある。
それを払しょくするためにも、とにかくやってみるという行動を出させるための言葉である。
「やってみて、何とかする!」という覚悟で取り組むことが大切と思う。
◆ 今後の目標は若手の長所を伸ばすこと
少しでも早く一人前の設計者・技術者になること。
そして、自分の経験からも、上司の“長所を伸ばす育成方針”で成長できたと感じており、自分も若手の長所を伸ばし活かせるようにしてやりたいと思う。