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社員体験記

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第21回 : Kさん 設計経験25年

2015.01.10

機械・プラント製図 技能検定 2級

◆ 大学卒業後、自動車変速機メーカへ
大学は精密工学で、電気メーカの部品設計を経て、自動車設備関係の設計会社に転職。
そこは設備設計・組立が主であるが、一番面白かったのはカーボンナノチューブの量産化の研究装置の開発。低真空の環境の中でカーボン電極に高電流を流すとある確率でナノチューブができるという装置。
電極が消耗するため微量ずつ押し出す機構を持つ。
構造は簡単だが他に類似品がなく、真空内外に対し、駆動部とカーボンを連動させる磁気カップリング、給電方法に苦労した。

◆ ハードワークが続くので、アルパイン設計に転社
ところが400時間超/月のハードワークが続くため、健康管理を考えて転社を決意。
上記労働時間は現在では法律違反に当たるものだが、昔はこのような状況もよくあることだった。

◆ 半導体露光装置の開発で苦労
アルパインに入社してから最初に取り組んだのが次世代半導体露光装置の開発。
他部署の設計はかなり進んでいて、残ったスペースに照明部を潜り込ませるような設計となった。
それぞれにユニット化された数枚のミラーを、高真空室内に配置するのだが、ミラーのX・Y・Z駆動、角度調整、冷却、位置精度保証の機構にたいへん苦労した。
マンパワーが不足していたのか、依頼元のサポートが少なく、関連部門との折衝、組立、搬出/入、梱包等にも携わった。
このような環境の中で仕事することはたいへん辛かったが、逆に、このような経験をしたことが今の自分に役立っていると感じることもある。

◆ 製薬設備(アイソレータ)の開発は多数経験
アルパインで一番長く携わっているのは製薬装置(アイソレータ)の開発。
何機種も開発しているので設計上重要なポイントは把握できており、依頼元との打合せでも最近の製品の傾向も併せて逆に提案できるようになっている。
アイソレータのつらいところは、板金の箱構造なので基本的に手直しがきかないこと。
したがって、設計・部品図の作成にはたいへんに神経を使う。
最近は操作性・メンテナンスに加えて安価な設計も求められ、さらに性能アップが要求されていることから、設計は一段と難しくなっている。

◆ データを間違えて失敗
シェルの開口幅がそこに取りつくユニット幅と合わず、シェル開口部を作り直した。
部品図作成の途中で計画図を更新したが、その内容が部品図に反映されなかったために起きた不具合。
それからは部品図作成指示を文書化し、最新計画図とシェル部品図を重ね合わせてチェックしている。

◆ 指摘で「考える設計」を気づかされる
単純なブラケット図面を描いたとき、「なぜ2つの部品なの? なぜ一体にできないの?」と聞かれた。
聞いた人は設計意図を知りたいだけだったと思うが、単に以前の形状がそうだからではなく、どのような形状が機能的に良いのか、また安価になるのかを考えて設計したのか?ということを改めて気づかされた。

◆ 今後目指すのは標準化
現在は装置開発毎に同じようなユニットを設計しているが、特定範囲ではできる限り同じユニットを使えるように標準化を進めていきたい。
設計の共通化による効率化と低価格化を進めていく必要があると考えている。

◆ 座右の銘 : 「過ぎたるは及ばざるが如し」
但し、単に中庸を狙うのではなく、意図を持った中庸であるべきと考える。
その実現のためにに “手段が目的化しない” ように注意したい。
また、教訓として深く心に残っているのは、「寸法のない図面は、ただの絵」ということ。