社員体験記
第2回 : M さん 設計経験32年
機械・プラント製図 技能検定 2級
◆ 兄の書く機械図面に感動
中学生のころ、高専の兄が書く機械製図の整然と並ぶ線や物の形が正確に描かれるのを見て感動し、機械設計に興味を持つようになる。
それで大学も機械科に進み、就職先も機械の設計・製造を行っているところを選択。
◆ 主に包装関係の機械設計を担当
就職先では、最初2年間は現場や出張先で加工や組立の経験を積む。
調整は最終的に設計のしわ寄せが集まるところで、特殊なノウハウが必要なところもあった。
設計業務に就いてからも2~3年は自分が担当した機械の据付・調整作業を行った。
また、現場で改造部品を製作し、それを図面化することも多く経験した。
担当したのは、食品などを小箱に詰める包装機械や物流の搬送コンベヤなどで、人間の手作業を自動化するので結構複雑な動きをする機械である。
◆ 製品の熱の影響で搬送トラブルが発生
設計を担当してからの大きなトラブルは、試運転では全く問題なかったのに、本生産になって60~70℃の製品が充填されたガラス瓶の搬送で熱がステンレスのデッドプレート (渡り板) に伝わり、瓶が滑らなくなってしまったこと。
傾いた瓶が割れて、ステンレスの表面が傷だらけになった。
ステンレスが温度上昇でこれほどまでに摩擦抵抗が変化するとは全く知らなかった 。
聞くと他部署では常識だったようで、社内での情報伝達がうまくいっていなかったことを恨んだ。
そのほかでは、改造のための出張先で作業が思うように進まず頭の中がそのことで一杯になり、先方の工務課の方にあいさつを忘れてしまったこと。
あとで工務課の方が「だいぶ思い詰めていたようだが大丈夫か?」と心配されていたと聞き、たいへん心配をおかけしたことが反省材料として今でも心に深く残っている。
◆ 客先での検収後の打ち上げ会がうれしかった
うれしかったことは、お客様である某酒造メーカで、一週間あまりをかけて一人で据え付け・調整し、無事検収があがったあとでお客様が打ち上げ会を開いてくれたこと。
就業時間が終わったあと、事務所で自社の日本酒での宴会だった。
夏場の日本酒は体にこたえたが、非常にうれしくて、たいへん心に残るおいしいお酒だった。
そのお客様とは強い信頼関係が築けたことで、その後も数年間にわたって多くのラインを発注いただいた。
◆ 今後の目標は技術の伝承
現在、最も力を入れていることは全体の技術力アップ・人間力アップで、社内教育や技術資料のまとめなどを推進している。
自身としては、積極的に推進している3D-CADをしっかり使えるようになりたいと思っている。
◆ 座右の銘 : 「百聞は一見にしかず」
自身の経験から現場で確認することの大切さを身に染みて感じている。
机上で検討するよりも、ものを見ながら検討する方がよほど早く分かりやすい。