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社員体験記

トップページ 社員体験記 第1回 : J さん 設計経験34年

第1回 : J さん 設計経験34年

2014.03.10

機械・プラント製図 技能検定 2級

第二種衛生管理者

危険物取扱者乙種4類

◆ 機械設計の道に進むきっかけは大学の先生の勧め
最初から文系の仕事は向かないと思い、かといって設計の仕事もあまり好きではなく、何となく研究職に就きたいと思っていた。
そんな時大学の先生の勧めで某工作機械の設計製造会社に入社。
しかし、そこで人事の人から開発関係の仕事が向いていると言われ、結局、設計の道に進むことになる。
以降、いろいろな設計業務を経験。

◆ 最初は旋盤の設計から
最初に担当したのは旋盤の設計。
難しそうに思われたが、技術的にはほぼ確立された技術で前例に従って設計すれば概ね完成する。
スライド機構にリニアガイドを使うことが新しい試みだった。
その後、マシニングセンタやその周辺装置(搬送装置など)を設計。
そうこうしている中で、土木設備の会社で機械設計者が必要ということで、高速道路の設備計画を担当することになる。
融雪装置や消火栓、大型の集塵機などの設置や保全を行う。
普段は入れないところに入って作業することも多く、集塵機などは埃のすごさに驚き、また、吸引ファンが大きくて吸い込まれると命がなくなると言われるなど、いろいろ面白いこともあった。
見積り書を作成する作業も多く、コストに関しての意識も高まる。
その後、半導体基板のパンチング装置やカッティング装置の開発も経験。
精度の高い穴をあけるのに、ピッチが安定しなくて苦労した。

◆ アルパインに入ってからは医療関係の設備を設計
当社と取引のあるメーカから、製薬装置やアイソレータ(無菌環境保持装置)、薬品の充填機などの医療関係の装置設計の依頼を受ける。
過酸化水素等を使う非常に特殊な環境であり、その環境に耐える材料選びが大きなポイントとなり、何度も評価確認して材料を選定した。
さらに最近では再生医療関係の設備設計の業務が増えており、再生医療技術への期待の高まりを肌で感じる状況である。

◆ マシニングセンタの失敗から中部発明表彰を受ける
設計での失敗事例も多くある。
マシニングセンタのATC (Automatic Tool Changer) の設計を行ったときに、振動や衝撃が大きくて安定したツール交換ができなかった。
装置の固有振動や搬送速度と制御、カム曲線など、 様々な要素が関係しており、それぞれに実験しながら解決策を見つけていった。
その開発で交換時のクランプシステムの特許出願を行ったが、それが中部地区の発明表彰を受けることになる。
その他、小型NC旋盤を開発したときには、油漏れに苦しんだ。
シーリングも十分に行ったのにどこからともなく油が漏れる。
調べていくと油があるはずもないところから漏れている。
ワークの回転などによって予想もしないところにも油の飛散があることが判明。
カバー設計の重要性と難しさを痛感する。

◆ 自分で設計した旋盤が大学に残っていることに感動
初めて自分ひとりで1台まるごと開発した小型NC旋盤が、出身大学に寄贈され、後年、大学の移転で見学に行ったときにもそのままの状態で残っていた。
現在でも使われているか否かは不明であるが、自分が開発設計した装置が少しでも役にたっていると思うと、改めてものづくりの楽しさと感動を覚える。

◆ 今後の目標は再生医療の発展に寄与すること
自身が持病を抱えているためか、再生医療にはたいへん興味がある。
まだまだ高価な再生医療だが、近いうちに大きな進歩を遂げて実用化が進むと考えられる。
少しでもそのお役に立てるように努力したい。

◆ 座右の銘 : 「何でも聞きなさい」
分からないことがあったら何でも聞いた方が良い。
自分で調査することも大切であるが、調べたことだけでは限界がある。
経験者の話を聞くといろいろなノウハウがあり、聞くことは非常に大切なこと。