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スタッフコラム

未知との遭遇

2024.02.05

あなたは宇宙人に”右”という方向を認識させる際、どうやって説明しますか?
非現実的で馬鹿らしい質問だと一蹴する人もいるかも知れませんが、これに似たようなことが
昔考えられていました。

1977/8/20人類が初めて宇宙へ旅した年から約16年後のこと、ボイジャー1号2号が宇宙へ旅立ちました。
宇宙探査の目的以外にこの2つの探査機には重要なミッションがありました。
それは「地球外知的生命体との遭遇」です。

NASAはこの探索機に地球以外に生きる生命体との交流を図るために、地球での文化や言語、音楽などの情報を
二枚のディスクに収め、宛先の分からない手紙として宇宙へ旅立たせました。

これがかの有名な”ゴールデンレコード”です。

ここではじめの問題が出てきます 一体生命体と合流した際にどのような手段を使ってこちら側の情報を
受け取ってもらうのでしょう。相手は文字はおろかディスクそもそもの使用方法もわかりません。
そこでゴールデンレコードにはある謎解きが組み込まれました。

この画像は、ゴールデンレコードの表面に刻まれた絵です(図1)。
この図に描かれているものは宇宙空間上に最も多く存在する”水素原子”の超微細遷移の様子が描かれています。
また、この2つの原子を繋ぐように引かれている線は2進法で”1”を示しており、つまりこの図は、
水素原子の軌道電子のスピン方向が変わるときに放出される電磁波(21cm線)の波長 (21 cm) と振動数 (1420 MHz)
を一つの単位として次からの謎解きに使用することを示しています。

(図1 中性水素を示した図)

長さの単位が地球人と宇宙人では違くとも、この長さは何処の生命体だろうと変わりません。
そこにかつての宇宙開発者たちが目をつけました。
ここから先はこの波長 (21 cm) と振動数 (1420 MHz)を軸として同じくゴールデンレコードの表面に刻まれた謎解きを
して行きます。
例えば(図2)は横から見たレコードの絵で、下に同じように2進数が描かれています。
この2進数で求められた値と1420 MHzをかけ合わせると、レコードの再生時間である54分とほぼ一致する仕組み
となっています。

(図2 レコードを描いた図と2進数)

今回説明したのはゴールデンレコードの内容のほんの一部であり、必ずしもこれが正しいとは限らず、
多少の間違いが混ざっているかもしれませんので悪しからず…
ボイジャーは現在地球から約146億マイル離れた位置を漂っていると言われています。
我々の知らない生命体がこのレコードを手にするのもそう遠くない未来かもしれません。
…なんならもうすでに手にして、謎解きなんてせずに壊しているかもしれませんね。

何にせよ少しでも気になった方がいれば少しだけ宇宙について触れるのも良いと思います。



R.S