社員体験記
第19回 : Tさん 設計経験25年
機械・プラント製図 技能検定 2級
テクニカルイラストレーション技能検定 2級
◆ 学校卒業後は設計・人材派遣会社に
特別機械が好きなわけではなかったが、工業高等専門学校を卒業して設計・人材派遣会社に入社してこの道に進むことになる。
派遣会社ではグループ単位で依頼元会社に人材を派遣し、新人教育やOJTもそのグループの中で行われるシステムになっていた。
最初に派遣されたのは車のクランクシャフトの研磨盤を作っている会社で、設計の大変さを肌で感じるとともに設計手法や図面の書き方などを一から教えられた。
◆ 複雑な動きのある様々な装置開発を経験
当時のクランクシャフトの研磨は、砥石を固定して偏心したクランクシャフトを回転させるもので、重心を出す計算をよく行った。それも今のようにコンピュータは無く、手計算で。
その後派遣先を郷里の石川にして、洗剤のパッケージング装置の開発に携わる。
そこではエアーシリンダなどのアクチュエータの使い方などを学んだ。
さらにその後、CADを使って木材加工をする製材装置の搬送設計を行い、以前の派遣先でのお誘いもあってアルパインに入社することになる。
アルパインに入ってからはさらに難しい装置設計を担当。容器にラベルを貼り付けるラベラーやキャップを取り付けるキャッパー、搬送上部に機構を設置できない製薬装置など、ギヤやリンク・カムなどを多用した装置の設計を行う。
◆ 単純なミスでたいへんな苦労を!
失敗は多くあるが、単純なミスでたいへん苦労したことがある。
アームの可動部に長いボールネジを使用した時、ボールネジの長さ指定を間違えてしまった。
ボールネジの可動部の長さを指示して手配したが、実は前後の軸受部を含んだ長さ指定が必用であり全長が足りなくなって可動範囲が短くなってしまった。
急遽手配し直したものの、何分長さが長いのでなかなか物が無く、全国の取扱店に電話を掛けまくってようやく九州で見つけて何とか対応できた。
また、ある上下動する機構でサーボモータを選定したが、設計が進むにつれていろいろな部材が追加されていき、とどのつまりは選定したサーボモータでは容量不足で動かないことがあった。
部材が追加された時にモータ容量を見直せばよかったのだが、忙しさのあまりそのままにしてしまったのが敗因である。
◆ お客様に育てられたと深く感謝する
いろいろな失敗をして来たが、その都度お客様が失敗を許してくださり、現場へも一緒に行って夜遅くまで対応してくれたりしたことを思うと、自分は本当にお客様に育てられたと感じる。
特に設計事務所は現場がないだけに、現場の苦しみを知る機会が少ない。
お客様と一緒に仕事をしてきたことで自分も成長して来たんだとつくづく身に染みて感じる。
◆ 図面には設計者の意図が込められている
日頃何気なく書いている図面だが、線1本引くにしてもその図面には設計者の意図が込められている。
他の図面を見る時は、その意図を読み取るように心掛けている。
ちょっとした怠慢が大きな失敗を招くことも経験しているので、絶対に気を抜いてはいけないと思って注意している。
◆ 「失敗を財産にする!」
技術的なことでも、人前で話すことでも、大きなこと、小さなこと、人から聞いたことでも、役立つことはすべて自分の財産にすることが成長するために必要だと思う。
◆ 今後は自分の経験を伝えること
これまで行ってきた設計業務や管理業務など、自分が経験したことを他の人に伝えていくことが役目と考えている。
その中から何かしらのヒントを見つけていただけると自分の経験が生きることになると思っている。