スタッフコラム
一期一会
2018.08.06
生活の中で“一期一会”という言葉をよく見たり聞いたりします。
この言葉で子供の頃のある出来事を思い出します。
私は小学生の頃、夕刊の配達をしていました。
ある日販売所の人から「今日から○○病院の○号室の○さんもお願いね。」と言われ病室まで夕刊を届けることになりました。
病室に行くとそこには70歳位のおばあさんがベッドの上で上半身だけを起こして座っていました。
「夕刊です。」と私が言うとおばあさんは「わざわざこんな所までありがとうね。」とにっこりしながら答えてくれました。
その日から私はいつのまにか毎日のおばあさんとのちょっとした会話が楽しみや励みになっていきました。
そんな日が何週間か続き、ある日いつものように病室に配達に行くとそこには誰も居らずベッドの上にはきれいにたたまれた毛布と
枕だけが置いてありました。
私は少しがっかりしながらベッドの上に新聞を置いて帰りました。
翌日も同じように病室へ行くとやはり誰も居らず昨日の夕刊がベッドの上にそのまま置いてありました。
その日も昨日の新聞の上に今日の新聞を置いて帰りました。
配達を終えると販売所の人からおばあさんが亡くなったことを知らされました。
おばあさんがどこの誰だったのかは今となってはわかりません。
当然身内でもありません。
ただ、そのときの何ともいえない愕然とした感じが今でも心に残っています。
“一期一会”を大切に・・・・
— Y.A —