スタッフコラム
山行き
今年の夏、二十数年ぶりに山に行きました。
就職、結婚、仕事という具合に生活に追われると山へ向かうことはなくなりましたが、盆休みに時間が取れたことから山に行こうと決心しました。
山行きを決めるにあたっては以前からの憧れの地、涸沢。学生時代に立山山域の五色が原山荘で1ヶ月アルバイトをしたこともあり、以前から北アルプスへはチャンスがあればと想っていました。
今回の山行のテーマは、単独行、テント泊といきなり高いハードルを掲げての挑戦です。
8月14日 昼過ぎ猛暑の金沢出発。
夕方4時ごろ上高地入山の拠点、沢渡到着。
金沢から比較的近いと思いながら、そのまま車中泊。
8月15日 朝5時半起床。
天気は申し分ない晴天で、気分も高揚しながら準備を整え6時出発。
沢渡バスターミナルから上高地行きのバスに乗ること30分弱、上高地に到着。
初めて登山届を書き沢山の登山者が各々準備をしている様子を見ると、周りの人全てが登山のエキスパートに見えます。
そんな中初心者の自分が一人で、しかもテントを携えていることの無防備さを痛感しつつ、山に対して「やさしく迎えて下さい。」と祈るばかりです。
そんな心持の中、7時前に穂高連峰のダイナミックな景色に見とれながら登攀開始。
最初は、梓川沿いの起伏の少ない整備された登山道を3時間弱で横尾山荘に到着。
一息つけて、横尾大橋をわたり1時間ほどで本谷橋に到着。
ここまでは比較的なだらかな道でしたがここから高度を上げていきます。
ガレ場有り、雪渓有りと、きつい登りを休みながら登ること2時間、バテバテでなんとか涸沢ヒュッテに到着。すぐにテント場で手続きし幕営。
涸沢は登山の聖地と言われていますが、涸沢カールの壮大で荘厳な景色は言葉では言い表せません。
苦労して上った者だけへの山からのご褒美だと思いました。
真夏のため3時ごろから雲が掛かり始め、暗くなってからは雨音が弱いながらもテントをたたきます。
明日の好天を祈りながら初めてのテント泊、標高2500mで小雨、寒さでろくに寝られません。
他のテント泊の人がダウンのジャケットを着ているわけがここで分かりました。
8月16日朝5時起床。
雲が晴れ、朝日に照らし出される涸沢カールの景色に感動します。
初めてのテント泊も寒さに打ちのめされつつ撤収し今日の目的地、北穂高岳目指して6時登攀開始。
南稜ルートに取り付きます。
この登山道は北穂への一般ルートですがクサリ、ハシゴと危険地帯もあり気を引き締めて登ります。
10時前に3106mの頂上に着いたとき山からのご褒美をいただきました。
快晴の中360度の展望で、槍ヶ岳、奥穂高岳、周辺の山々の眺望が素晴らしいのです。
つかの間の休息後、下山に向け気を引き締め直し、昼過ぎ無事涸沢ヒュッテまで下山。
昼食をとりつつ名残惜しみながら上高地に向けて登ってきた道をひたすら下ります。
暑さと、ヒザの痛みで下りは厳しい道のりです。
横尾でテント泊をしても良かったのですが、体力が持たないので今日中に上高地に向かうこととし、最終バスの時間を気にしながら気力で歩き続けます。
夕方6時過ぎ、上高地に最終の一つ前のバスに間に合う時間に到着、今回の山行は終了しました。
今後に向けて、テントでの保温、コンロ、ラジオ、救急用備品の携行、体力の向上等課題は豊富ですが、一人登山は良いも悪いも自然を独り占め出来ました。
涸沢は本当に素晴らしいところです。
時間が取れればまた行こうと思います。
(次の日からしばらく筋肉痛が続いたことを付け加えておきます。)
— Y.T —